こんにちは。歯科衛生士の石川です。
 
 
今回のテーマは「歯の色が違う理由」についてです。
歯の色が違う理由を大きく4つに分けてお話していきた
いと思います。
 
「歯の色が違う理由」1つ目は歯髄死です。
歯髄死とは、歯の神経が死んでいる状態のことです。
歯髄には通常神経や血管が通っているのですが、
強い衝撃や大きな虫歯によって歯髄が死んでしまうこと
があります。
 
歯髄死になると、血液や酸素、栄養が通わなくなるため
歯髄が黒く変色していきます。
 
この場合は歯の内側からのホワイトニングによって白く
する方法と全体をセラミックで被せる方法があります。
 
ホワイトニングは白くなりにくいことや色の後戻りの可
能性がありますが、セラミックは変色の心配はありませ
ん。
 
「歯の色が違う理由」2つ目は着色です。
着色とはタバコや飲食物が原因で歯の表面に色がついて
いることです
 
歯の表面には「ペリクル」という薄い膜が覆っています。
ペリクルは歯の表面のエナメル質に何も付着物が無い
状態の時に形成されるのですが、唾液などの無菌性の
糖タンパク質によって形成されるため常に唾液に触れて
いる歯面には常にあるということになります。
 
ペリクルはエナメル質への酸の浸透を防ぐなど、
保護してくれる良い面もあるのですが、粘着性が高く
細菌を吸着させてしまうという悪い面もあります。
 
このペリクルに着色の原因である成分が蓄積されて、
歯面が茶色や黒くなるということです。
 
タバコによる着色でよく耳にする「ヤニ」はタールと
いう物質です。タールは粘着性のある物質で発がん性も
あります。予防に一番効果的な方法はなかなか難しいか
と思いますが禁煙です。
 
また、緑茶や紅茶、コーヒー、ワインなどは特に付きや
すい飲食物です。緑茶や紅茶には「タンニン」という
色素の強い成分が多く含まれており、このタンニンが
着色の原因となります。
 
他にも健康に良いとされている「ポリフェノール」も
着色の原因といわれており、コーヒーや赤ワイン、
チョコレートなどに含まれています。
 
一度着いてしまった着色を、歯磨きで除去することは
難しいので歯医者さんでの定期的なクリーニングを
行いましょう。
 
当院では、クリーニングの際コントラアングルハンド
ピースという器械に小さなブラシを装着し、
研磨剤をつけてブラシを高速回転させることで
着色や汚れを除去していきます。
 
ご自身で行うことのできる予防は、ホワイトニング用の
歯磨き粉を使用することです。
 
ここで気を付けていただきたいのが、粗い歯磨き粉を
使用しないことです。着色を除去しようとして粗い
歯磨き粉を使用すると、歯面に傷が付き、その傷にまた
着色の成分が入り込み、除去できなくなってしまうから
です。
 
 
「歯の色が違う理由」3つ目は薬です。
「テトラサイクリン」という言葉を聞いたことがあるか
と思います。
 
テトラサイクリンとは幅広い細菌に対応する抗菌薬です。
これによって歯の色が違う状態を「テトラサイクリン歯」
といいます。
 
テトラサイクリンは歯や骨に色素沈着を起こす成分が
含まれており、服用した時期と形成期が重なるとその
色素が現れてくることがあります。
 
歯の色はグレーや黄色で縞模様になっている場合もあり、
前歯から奥歯まで左右対称に現れます。
 
形成期に関係のある妊娠中の方や授乳中の方、
8歳以下のお子さんは服用を控えましょう。
 
ホワイトニングでは白くならないことがあり、縞模様に
なっていると均一に白くするのは大変難しくなるため、
当院ではセラミックで全体を覆う方法になります。
 
 
「歯の色が違う理由」4つ目は加齢です。
歯は、外側(表面)からエナメル質、象牙質、歯髄と
いう構造になっています。
 
エナメル質は半透明の色をしていて、
象牙質は黄色っぽい色をしています。
 
歯が真っ白でなく黄色みがあるのは、象牙質の色が
透けているからなのです。この象牙質は加齢とともに
厚みを増すため、色が濃くなります。
 
これは、象牙質の内側にある歯髄は歯髄腔という
空洞の中に入っているのですが、歯髄腔は年齢とともに
縮小していくためです。
 
外来からの刺激を防御してくれる歯髄腔が少なくなって
いく分、象牙質は厚みを増すのです。
ちなみに、この部分の象牙質を第二象牙質といいます。
 
今回歯の色が違う理由をいくつかお話しましたが、
個人差もありますし、原因は様々です。定期的に
クリーニングを行うことで白さを保つことができます。
 
また歯髄死などは、月単位で経過してから変色してくる
場合もありますので、定期的にレントゲン検査を行う
などの経過観察も大切です。
 
何か気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。