今回のメルマガのテーマは、歯のエナメル質とは?回復・修復方法です。
まず、歯のエナメル質とは?についてお話します。
歯のエナメル質とは、歯冠の一番外側を覆っている歯質のことです。
個人差はありますが、歯のエナメル質の厚さは2ミリから3ミリです。
歯頸部に近づくほど歯のエナメル質は薄くなります。
歯のエナメル質の97パーセントは「ハイドロキシアパタイト」というン酸カルシウムの一種からできています。
舌で触った感じや見た目はつるっとしていますが、顕微鏡レベルで見てみると、歯のエナメル質は「エナメル小柱」という、文字通り細い柱のような組織がびっしり並んで作られています。
また、歯のエナメル質は非常に硬く、人の体の中で一番硬い組織です。
硬さの段階を1から10までに分類するモース硬度というものがありますが、歯のエナメル質はモース硬度6から7に該当します。
これは水晶と同じくらいの硬度です。
人の骨のモース硬度は4から5と言われているので、歯のエナメル質は、人の骨よりも硬いです。
こう聞くと、硬くて頑丈な組織のように思えますが、皆さんもご存知のとおり、虫歯になると歯のエナメル質には穴が空きます。
歯ぎしり、食いしばりなどで欠ける場合もあります。
なぜ硬いエナメル質に虫歯で穴が開いてしまうのか。
歯のエナメル質とは?回復・修復方法についてお話します。
エナメル質はとても丈夫ですが、歯に付着したプラークに含まれている虫歯菌が酸を出すことで、歯のエナメル質は溶けてしまいます。
歯のエナメル質が酸で溶けてしまうことを脱灰といいます。
ですが、脱灰をしても、歯がすぐ虫歯になるわけではありません。
歯のエナメル質が脱灰することは珍しいことではなく、食事をした後に口腔内に酸が増える状態は日常的に起こっています。
それでも簡単に虫歯にならないのは、歯のエナメル質を回復・修復する再石灰化という作用が自然に働いているからです。
再石灰化は、唾液に含まれているカルシウムイオンとリン酸イオンが溶けた歯のエナメル質の中に戻ることで、歯のエナメル質が元通りに戻ることです。
歯のエナメル質が自然に回復・修正されます。
しかし、再石灰化ですぐに歯のエナメル質が回復・修復する訳ではなく、歯のエナメル質が回復・修復できる範囲にも限界があります。
虫歯や咬耗や破折が原因で、歯のエナメル質が欠けたり、穴が空いたり、歯のエナメル質の内側の象牙質まで穴が達してしまうと、再石灰化の作用は働かなくなります。
ですので、このように大きく穴が空いたり欠けてしまった場合には、詰め物や被せ物で歯を補綴する、いわゆる虫歯治療が必要になってしまいます。
では、なるべく歯のエナメル質を傷つけないように再石灰化を促すための方法は何があるのでしょうか。
1つ目は、歯のエナメル質にいい食べ物を食べることです。
主に魚などの天然のフッ素が含まれたものを食べることで、フッ素の成分が歯をコーティングし歯のエナメル質に傷をつけにくくなります。
2つ目は、キシリトール入りのガムを噛むことです。
キシリトールは口腔内で酸を作らず、酸を中和させる働きもあります。
噛むことで唾液量が増えるという利点もあり、口の中を虫歯になりにくい環境にしてくれます。
3つ目は、歯科医院でフッ素を塗ることです。
フッ素が歯にいい理由は、再石灰化を促し、初期の虫歯を治す効果や、虫歯菌が出す酸を抑制する効果があるためです。
4つ目は、自宅でもフッ素が高濃度で入っている歯磨き粉や、歯のエナメル質を回復・修復する歯磨き粉を使用して歯磨きをすることです。
最近は薬局でも数多くの種類の歯磨き粉がありますので、
高濃度フッ素が入っている歯磨き粉などを探してみて下さい。
フッ素入りの歯磨き粉の効果的な使い方は、まずはいつも通りに歯を磨いて、口腔内の歯垢を取り除き、普通にうがいをします。
その後、高濃度フッ素入りの歯磨き粉を歯の表面に均一に塗るようにして軽く磨きます。
歯磨き粉を塗るようにして磨いた後はできれば軽くうがいをするか、口の中の唾液だけ吐き出すようにして頂けると、口腔内にフッ素の成分が残るので理想的です。
当院でもおすすめのフッ素ジェルを販売しています。
歯のクリーニングの後にも塗布しているものです。
もし興味があればスタッフにお問合せ下さい。
歯のエナメル質とは?回復・修復方法について今回はお話しました。
口腔内の再石灰化の作用でも、ある程度の範囲内であれば歯のエナメル質は回復・修復しますが、その範囲にも限りがあります。
ご自身でのセルフケアと、歯科医院での定期的なメインテナンスも、歯のエナメル質を回復・修復する上で必要不可欠ですので、ぜひ定期的な歯科医院の受診をおすすめします。
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