こんにちは。ファーストデンタルクリニック歯科衛生士の石川です。
今日は象牙質をテーマにお話していきたいと思います。
象牙質とは歯の組織の名称です。
歯の組織は外側から、エナメル質、象牙質、歯髄となっ
ています。象牙質はエナメル質よりもやわらかく、弾力
性があるので、衝撃にもろいエナメル質の破折を防ぐ柔軟性があります。
エナメル質は人間の体の中で最も硬い組織で、モース硬
度は6から7です。
その下にある象牙質は少しやわらか
めのモース硬度5から6です。モース硬度とは、1から
10で表す硬さの度合いです。
硬いものになるにつれて数字が大きくなってくるモース
度ですが、ダイアモンドは10、ガラスは5、大理石は
3から4、金は2.5から3なので、エナメル質はかな
り硬いことがわかります。
象牙質は硬組織の成分であるハイドロキシアパタイトが
70パーセントで、残りはコラーゲンなどの軟組織でで
きており、弾力性や柔軟性をもつので、エナメル質の衝
撃などによる破折を防ぐことができます。
また、色は少し黄色みのある名前の通り象牙色で、加齢
と共に色は濃くなっていきます。エナメル質は半透明な
ので、内側の色が透けます。
歯の色が年齢とともに黄色くなることや、歯ぎしりなど
で歯が削れて黄色く感じるのは、エナメル質が削れて内
側の象牙質が見えてしまっているためです。
象牙質がむき出しになると黄ばんだようなくすんだ色に
見えてきます。むき出しになるとしみる、痛みが出るな
どの知覚過敏の症状が出てきます。
原因は歯肉の退縮や歯の破折、歯ぎしり、歯が溶けるな
どが挙げられますので詳しくお話していきます。
歯肉の退縮は年齢によって下がってくることや強いブラ
ッシング圧が原因になる場合があります。細菌が原因と
なる歯周病は歯肉退縮の原因の1つです。
普段の歯ブラシでは取り除けない部分も専用の器具を用いて歯科医院
では除去できます。
歯磨きのときに「硬めの歯ブラシで力強く磨いた方が磨
けた気になる」という理由でゴシゴシ磨いて、歯肉を傷
つけてしまっている方がおられます。
歯のプラークといわれる汚れは毛先がしっかりと当たっ
ていれば、優しい力で十分落ちます。磨き方についても
お話できますし、歯肉退縮予防にもなりますので定期的
なクリーニングを受けるようにしましょう。
次に歯の破折の場合ですが、象牙質だけでなく神経まで
到達している可能性もあります。神経まで達していると
強いお痛みが出ます。
歯が使えそうであれば、神経の治療をして全体を覆う被
せ物を被せます。破折した大きさにもよりますが、小さ
ければ保険の白い樹脂で形を整えることもできますが、
脆く、欠けやすいのでおすすめはできません。
歯ぎしりが原因となる場合は、歯がすり減ることによっ
て起こります。歯の外側にあるエナメル質は硬いですが、
歯ぎしりをしていると少しずつ擦り減っていきます。
擦り減ることによって、象牙質が見えてきて歯の噛む面
が黄ばんで見えることがあります。個人差がありますが、
しみる場合とそうでない場合があります。
歯が溶けることについてですが、口腔内が酸性に傾くと
歯は溶け始めます。口腔内は通常中性ですが、PH5.5程度
で歯は溶け始めます。
糖が含まれている食べ物や飲み物を口腔内に入れると糖
が酸を作り、歯は脱灰といって溶け始めます。ここで、
唾液によって酸を中和してくれたり、溶けたものを元に
戻してくれる再石灰化ということが起こります。
再石灰化が起こることによって、歯が溶けていくのを防
いでくれていますが、常に食べ物が口腔内にある状態で
すと、再石灰化ができずずっと溶けた状態が続いてしま
います。だらだら食べることがよくない理由はこういっ
た理由なのです。
また、フッ素は再石灰化を促進してくれる効果がありま
す。現在は高濃度入りフッ素も手軽に薬局などで手に入
るようになりました。虫歯予防に効果的なので使用する
ことをお勧めします。
使用する際は大人ですと2センチ程の量が目安で、お口
をゆすぐのは少量のお水で1〜2回にしておいてくださ
い。あまりゆすぎ過ぎるとフッ素の効果が減少します。
歯磨きのあとはなるべく2時間程飲食は控えましょう。
このように象牙質がむき出しになっているといっても、
様々な状態がありますので、治療する場合と症状がない
場合はそのまま様子をみる場合があります。
また、象牙質は少し軟らかめなので、虫歯になりやすく
進行も早いです。歯肉が退縮してくると、もともと歯肉
に覆われていた根の部分はエナメル質がないため特に注
意が必要です。
定期的なクリーニングや検診は予防や早期発見につながります。
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